遊びに関する哲学的なもので有名なものは2つあります。
1. ヨハン・ホイジンガ著 『ホモ・ルーデンス』(1938)
2. ロジェ・カイヨワ著 『遊びと人間』(1958)
ホイジンガの遊びに対する定義がもはや戦前のものですが、今でも遊びの本質が変わらないことの証明という感じで普通に通用する感じです。
要約するとこんな感じです:
遊びとはある規定された時間/空間の範囲内で行われる能動的行為/活動である。それは自ら受け入れた規則に従って行われ、その規則は絶対的な拘束力を持っている。遊びの目的はその行為/活動そのものが目的であり、それは緊張と喜びの感情を伴う。またそれは日常生活とは別の物であるという意識が伴う。
ホイジンガの著作を補完する意味で出版されたわけではないようですが、ホイジンガにインスパイアされたカイヨワの著作中での遊びの特徴はホイジンガのそれを再定義したような感じです:
自由な活動:遊ぶ側が強制されないこと。もし強制されれば、遊びはたちまち魅力的な愉快な楽しみという性質を失ってしまう。
隔離された活動:あらかじめ決められた明確な空間と時間の範囲内に制限されていること。
未確定の活動:展開が決定されていたり、先に結果がわかっていたりしてはならない。創意の必要があるゆえに、ある種の自由が必ず遊ぶ側に残されていなくてはならない。
非生産的活動:財産も富も、いかなる種類の新要素も作り出さないこと。遊戯者間での所有権の移動をのぞいて、勝負開始時と同じ状態に帰着する。
規則のある活動:約束事に従う活動。この約束事は通常法規を停止し、一時的に新しい法を確立する。そしてこの法だけが通用する。
虚構の活動:日常生活と対比した場合、二次的な現実、または明白に非現実であるという特殊な意識を伴っていること。
なるほど〜。
今も昔も【遊び】に関する根幹部分は変わらないということですなぅ。
ぢゃあこれを現代のMMOPRGに当てはめるとどうなるのかを勝手に考察っ!
カイヨワの定義を基軸に論じてみましょうかー。
<自由な活動>
MMOPRGである以上、無料にしろ月額有料にしろ遊ぶ人がこちらからログインする必要があります。遊び始めること(≒ログイン)に関しては自由度保証済みかな。
しかしながらログインしたその先は話は別かと考えます。たとえばソロだとすぐ逝ってしまうようなクエストが有るんだけどPTが組めなくて進まない。ぢつわPT推奨のクエストって軽い強制とも言えると思うんです。無論そこは仲間を集めて楽しもう〜って部分ですので『有り』だと思います。そしてPT推奨クエにソロで突貫して討ち死にする自由が許されてますw
<隔離された活動>
MMOPRGである以上、仮想空間での活動になりますので隔離された空間は完璧ではないでしょうか。ただし決められた時間だけは真逆のような感じでむしろ時間制限が無く、廃?は際限なく時間を掛けるわけです。
<未確定の活動>
当たり前ですが結果が見えている遊びなんて面白くとも何ともないですし、創意工夫の余地がある方が楽しいわけです。
あてくしがもう1年以上前に載せた共感できる感想で
悪い点のあてくしの意訳を交えた内容は下記のような感じデス:
1.レイド討伐などに対する高報酬な物に対して戦闘ロジックが複雑化し、攻略サイトあるいは攻略情報なしではプレイが難しいこと。
2.延いてはその決められた戦術を高精度で執行する能力がプレイヤーのスキルとして求められること。
3.従って攻略情報を事前に知らずしてプレイをすることができないこと。そのひとはこうも言ってます(意訳):
ゲームというものは単純に決めれた手順をなぞるものではないはずなのにWoWではそれが必須となり、戦術や戦略を自らあるいは仲間内と試行錯誤しながら組み立てていくという余地は端から皆無ということ。最初から情報ありきで、ある意味「これはゲームではない」と思わせるものがあると。
結論として(意訳):
ゲームという物が本来内包するはずの、想像性/自由性に代表される柔軟要素は圧縮され、こてこてに固まったルートをいかに綺麗にトレースできるかの世界がそこにある。プレイヤーがそれを達することに快感・感動を見いだせるなら、あるいはハマることのできるゲームなのかもしれないと。
どうでしょ、未確定の活動とは程遠い内容です。
攻略に関する情報と言えば個人的に AION のパワーウィキは遊びをスポイルする物、と考えおります。便利だけど便利すぎる。
ある日の黄金の夜明けで低LV者のサポートに関してトピックが上がったのですが、それに付けられた様々な返信のなかで「AIONのパワーウィキも見ろ」という物もありました。確かに情報がたっぷりそこに有りますのでチャットで聞く前に調べてはどうかということです。ある意味これは「自由な活動」の制限を仲間内から掛けられているという見方もできます。パワーウィキを見る/見ないはあくまで遊ぶ側の自由意志であって強制される物ではないはず。
ではパワーウィキをみても上手いこと見つけれなくてレギチャで聞いた時に「それパワーウィキに載ってるけど?」的な事を言われたらどう思うのか。本来攻略情報とかはプレイ課程で見いだす物であってその有益な情報を先駆者(とくにレギメン)から教わり共有したいと思うのですが、パワーウィキ先に見とけというのは何か違うような気も最近してるんですね。ともかくパワーウィキを神経質になって調べてからでないとレギチャで質問もできないような雰囲気なる事は避けたいところです。
をっと閑話休題、
ことMMOPRGがプログラムである以上、戦闘ロジックは自ずと確立されるわけで、インスタントダンジョン(ID)はその最たる物です。目的はラスボスが落とすDrop品であり、そこに行くまでの手順は完璧に決まっております。人間みたく「そう来るなら、今回はこうしちゃおう」なんてロジックは対人と要塞戦以外は無いわけです。
Speed Run という言葉があります。
これは勝手知ったるプレイヤーが手順をスキップ可能な所はすっ飛ばしてラスボスに到達するプレイの仕方です。ショートカット有り、というPT募集と等しいかもです。完全にID制のMO、MMOにはよくある話で、一度行ってしまったところは同じことを何度もするのが「手間」という扱いになるので、なるべく手数を減らした攻略が主流になるんですね。こういうものに始めて参加する人が混ざるとあれよあれよという間に終わってしまい、なんら楽しめなかったということが生じます。
AION でもあてくしの抱えているキャラのLVだと炎の神殿がこれに該当します。人によっては神殿暮らしというぐらいに入り浸るのですが、あてくしはそれを楽しいとは感じないので、たまーに機会(野良募集)あれば参加するという感じでした。
カンスト級LVになるとそれはそれでID暮らしになるみたいですがそれが面白いのかどうかと言うといささか?マークになりそうなのですがこればかりはそのLVに成ってみないとわからないところです。
さて、どうやら AION (というよりはほとんどのMMOPRG)は装備ゲーです。装備が整わないとこちらの攻撃がかすりもしないとのこと。以下は4Gamer殿に載っていたユーザーレビューの一部です
さて、がんばってレベル50なって「さあPvPだ!」・・・というわけにはいきません。
AIONはレベル補正が厳しいのでレベル50にするのは大前提ですが、装備もいい物で整えないと攻撃さえ当たらない場合があります。この装備集めですが、下手をするとレベル上げよりも格段に作業であり、また膨大な時間と労力を浪費させてくれます。
MOBから落ちるレア装備はDROP率が非常に悪く、生産で作る装備は材料集めがしんどく、また材料を集めても成功する確率は低いです。上記時点でかなり危惧していたのですが、実際にPvPをしてみたら予想通りバランスが悪く、大味な内容でした。装備の良し悪しに比重を置いたゲームは大抵PvPの質が失笑ものになってしまうのが常ですが、AIONも例外ではありませんでした。
それでも、やはりPvPをメインテーマに据えているだけあって、他の量産型MMOよりは相対的に”まし”でした。しかし、装備ゲーなので装備に頼る人が多く、PvPで有名な人でもPvP時の視野が狭い人や無茶をする人が多いです。
装備ゲーではPSが一定ライン以上は育たないといういい例ですね。
ふむ。これまた難しい命題ですなぅ。遊びの定義では【行為/活動】そのものを楽しむものなので、まさにMMOPRGは成長課程を楽しむという点に於いてピッタリなものなのであり、その成果物的に装備が整うというわけです。どちらかというとプレイヤースキル(PS)に関してはある意味【極みの世界】は無いと言えるのかもしれません。
PSで厳密なことを言えば、相手の攻撃が当たらなければ防具は初期装備でも良いわけです。避けることを極めていれば。アクションゲームの場合ですがあてくしが極めた人のプレイ動画をみて凄いと思うのは、それが装備等のレギュレーションが変わらない中で行われているからなのですね。アクションゲームの場合、同じ装備同じ武器でプレイしているのに、上手い人はこれだけのことができるという所に魂が震えるわけです。
ただMMOPRGの場合は(お互い)100%当たるので装備が良ければ良いほど良いという「良いが3つならぶ」必要が出てくるわけです。つまりレギュレーションが異なるわけです。それこそ千差万別に。だからレギュレーションが異なる人らのMMOPRGプレイ動画を見ても「なるほどー」と思っても極みを感じて震えることはないです。
もう一つ4Gamer殿に載っていたユーザーレビューを:
固定のいない人はPT狩りに参加する頻度が激減するために、
知り合いの固定でフルPT組める人以外は、まともに遊べません。
人気のある、おいしい狩場はBOTがいてソロ狩りもできません。
つまり、固定の知り合いがいない人は、【何もできない】のです。
信じられないかもしれませんが、本当に何もできません。
これは他の人も指摘しているように、本当の話です。固定の無い人は、募集だけで1時間もチャットで叫び続けたり。
それをPT狩りに参加するたびに、つまり1日何度もチャットで長時間叫び続けることになるでしょう。
それか、狩り募集の呼びかけをひたすら待ち続けるか。過疎って無いときでも、募集を叫ぶのに時間がかかることもありましたが、
過疎った今では、募集を叫び続けても、あきらめるしかないことが多々あります。
全て本当の話です。1時間以上募集して、けっきょくあきらめる、ということが
良くあります。募集に使った時間を無駄にするだけでなく、PT組めないソロ狩りも
できないので、何もできないのです。けっきょく金返せという気持ちになりながら、
泣く泣くログアウトをすることになります。対人戦のドレドギオンも、固定がどんどん力を付けていくために、
固定が野良をイジメるだけで、まともに対人が楽しめません。
固定PTと野良PTが正面衝突して15〜30秒もあれば、野良は全員死んでます。更に、対人の職バランスも悪く条件さえそろえば火力職が
2秒で倒してしまえるために、殴り合いを楽しむということはできません。
襲われて即死の繰り返しで、戦いになっていません。
ふむ。いささか極論のようですがこういう一面は確かにあるのかもしれませんね。これはほんとに難しい・・・
というのも固定PTってMMOぢゃなくて最早MOですよね。ぶっちゃけそれでPTスキル育つのか疑問な部分は拭えません。変な話、野良PTで思いもよらないおかしな動きするPTMとプレイしてるとこっちが成長する側面ってありますよねぇ。でもそれはそれで微妙な感じが・・・
あぅ取り留めが無くなってきました。
詰まるところMMOPRGにおける未確定の活動は成長するにつれて無くなっていくと行ったところでしょうか。なので運営側はアップデートを繰り返して高LV者向けのエンド・コンテンツの追加を行うわけです。つまり新しい未確定要素の追加というわけです。
それでも飽きてしまった人たちは休止や引退の選択をするわけです。
もちろん中間LVでも『この行為/活動の繰り返しがこのさき続くのかぁ』と感じてしまってその選択をする人もいるでしょう。
<非生産的活動>
これに関してはMMOPRGは真逆の方向にいってるように思います。 ん〜そうですね、たとえば3DFPSなゲームであればゲーム内で手に入れたものは誰でも手に入る物であり、(ゲーム内の)何の財産的価値もないものです。
ところがMMOPRGとなるとそもそもゲーム内で手入れたものはあらゆる意味で財産的価値が伴います。例えそれがゴミという判断も価値がある物との相対物として【評価が存在する】という点ではユニークアイテムと同列と言えます。
そしてもちろん手に入れるのはDropだけではなく生産という手段もあります。素材を集めて加工物を作ることによりさらに価値のある成果物=財産を得るわけです。
MMOPRGは成長過程を楽しむ物ですが、上述のお互いの攻撃が全部当たるという条件から装備品の格上げは必須であり、だからこそゲーム内の装備品にゲーム内の資産価値が上乗せされるわけですね。
それがMMOPRGでの経済活動になるわけですが、だからこそBOTが氾濫してRMT業者が溢れかえる。リアルなら一生懸命に働かなければリアルマネーは増えませんがMMOPRGは後述する虚構の活動に属しますので、そこで資産の変換をRMTで行う人が出てくるわけです。
つまりリアルマネーを仮想世界の通貨にExchange(両替)するわけです。そして両替である以上為替レートが存在する。ヤフオクを見ればRMTは溢れかえっています。サーバーによって為替レートは異なってます。おかしな話ですが需要と供給によって値段が変動するよくある経済活動がそこに生まれちゃってます。両替である以上逆の動きもあります。つまり仮想世界の資産をRMT業者に買い取ってリアルマネーに変換したり、キャラ(アカウント)そのものを売る人も出てくるわけです。
そんなわけでことMMOPRGに関してはゲーム内財産が生じてしまう以上、非生産的活動とは真逆の位置にいるわけですねー
ちなみにNC社は他のMMOPRGに装備されているようなBOTを排除するシステムを入れる気は全くないようなので、今後はBOTはとどまることを知らないと言えるでしょう。
<規則のある活動>
いわゆるMMOPRG内でのシステム仕様あるいはルールと位置づけるものですね。くどくどと説明する類のものは無いようです。
<虚構の活動>
活動する場所が完全に仮想世界である以上、これ以上になく非現実と言えるのではないかと考えます。まぁいわゆる【始まっちゃってる人(*1)】という風に見なされる人がいて、メインが仮想世界側と言われちゃうケースがありますけどw
取り留めが無くなりました。
さて遊びの6種類の定義事項のうち、MMOPRGは未確定の活動と非生産的活動が異なるという視点で書いてみました。つまり遊びとしての楽しさが揺らぐ部分ということに成ります。MMOPRGが楽しく感じなくなる端緒ということになりますね。
そのほころびが広がってもう楽しくなくなれば人はそのゲームをやめるわけです。
実際あてくしもリネ2を休止したのは非生産的活動での資産形成の失敗が一番大きな事由でした。ちょっとのんびりプレイし過ぎたのですね。どう考えても手持ちの状況でこの先必要となるSグレードの装備が整いそうなかったので、この先続けることはできないという判断が一番最初に来たのです。装備が整わないと通常の野良PTは無論、同盟主催のNM討伐PTでさえ参加がままならなくなりそうでした。
あてくしがあのとき自キャラに下した判断は今回の定義に照らし合わせると、
(1)規則のある活動 → 超高LV狩り場ではそれなりの装備、Skill Enchant を行ってないと参加しにくい暗黙のルール的な空気感
(2)自由な活動 → (1)に伴い、どこにでも行けるわけではなくこの先どんどん活動が制限されそうな閉塞感。
これらを感じた時に素直に 「嗚呼、キャラというかリネ2内での社会生活に失敗したなぁ」 と認め、この先楽しめなくなりそうだと思い休止を決めました。
さて、MMOPRGには遊びの6つの定義にはない、というよりは分類しにくい要素【IN率】という物があります。
これは高ければ高いほどいいです。というのもあてくしのようにIN率が低いと一緒に遊んでいた仲間とのLV差が広がって、一緒に遊べなくなりたまにINしてもひたすらソロプレイになってしまうからです。もとより遊びの目的はその行為/活動そのものが目的であり、それは緊張と喜びの感情を伴うものというホイジンガの定義ですが、もくもくと修行僧のようにソロ狩に邁進するののどこが楽しいのかという話になります。
正直あてくしはソロ狩を1時間もやるとおなかいっぱいです。2,3日食べなくていいかなと思っちゃう。これがMMOPRGをするならIN率が高い方がいいという理由です。一緒にLVアップしていればちょくちょくPTプレイができる確率が非常に高まるわけです。行為/活動そのものが仲間と行うのでより楽しい物になるわけです。
なのでIN率が高くない人も結局孤独な状況が続きつまらなくなってそのゲームをやめてしまう可能性がある。
MMOPRGって気軽なようでそうでない遊びです。正直なところガッツリ時間かけてないと最終的に楽しめないことになる可能性があり、時間を掛けていたとしてもいわゆる金策に失敗するとそれにより楽しめないことになる。MMOPRGとはそういった物ではないかというのがアトレイデの最近の考えです。
IN率が十分に取れないようならMMOPRG自体遊ぶのをやめてしまおうかという考えも浮かびます。
ただつい最近リネ2のOB時代からのフレであるエンヴィちゃんがジケル鯖魔族でAION始めたそうなので課金しようと思ってます^^
だめですねーしかし。リネ2をしていた頃は仕事が忙しくて残業終わって帰って来たら何も考えずにリネ2してましたけど、いまは(不景気なせいで)毎日早く帰ってくるのでいろいろ余計なこと考えちゃいますねw
(*1)リネージュ2がサービスインした時のキャッチコピーが 「本物の人生、始まる」 だったので仮想世界にどっぷりハマッテル廃人や害人のことを揶揄して 「始まっちゃってる人」 と言う。
4 個のコメント
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キス魔の迦楼です。・д・ノヒラウバナン
過去のいろいろなシーンを回想しながら読破させていただきました♪
あまりにコメントしたい事が多かったので、ここでは自重して
ブログに書いてみようと思います。
すごい大作、さすがはアトレイデさん@@
あの頃一緒に駆け回っていたみんなLv20超えちゃったのですよ><
今のレギはあせってLv上げる必要はないので10台のサブも作っています。
エンヴィちゃんも来てくれるといいですね。
ゲームを楽しむ要素に時間帯とLv上げのペースが合う気の合う仲間が大切ですね。
いろいろ、考えさせられました><
あたしも、いろんなことにもっと気をつかわねば・・・
Author
◆◆ おカルさん ◆◆
ブログ見させてもらいましたっ!
自分の思っていること発信できるのがブログの良いとこですよネー
たっぷり読み応えありましたYO
◆◆ うふみきさん ◆◆
いろいろこんな事書いちゃいますけど、遊ぶ当人はいたってまったりプレイが止まらないw
今後ともよろしくなのですっ
◆◆ ネトルだんちょう ◆◆
だんちょうは今のままかわらずにヒモパンでいてくれればよいのよ!w