Atreide 2012-0212(SUN):改訂2012-0213(MON):改訂2012-0716(SUN)
ツィッターでゲーム中に録画した物をYouTubeなどに公開するためのエンコードツールの話をしてた絡みでアタクシが使っている TMPGEnc Video Mastering Works 5 をチョットばかり解説することにしました。
チョットばかりと言っても TMPGEnc5 はかなり多機能なので蘊奥を極むるにはそれなりの時間がかかるもよう・・・もよう、と言ったのはアタクシ自身それほど突っ込んで各機能を調べ尽くしたわけでは無いからです。ぶっちゃけそこまでやってる時間がないと言うかw。さくっと編集&エンコードしてさっさとブログにUPする、そんな感じの時間のかけ方でOK。と自身で決めておりますゆえ!
TMPGEnc5 にはシングルトラック編集とマルチトラック編集があります。TMPGEnc4 ではシングルのみでした。あたくしはプレイ中の動画を Fraps というソフトで FPS を表示しながら録画しているのですが、Fraps は 4GB 区切りでファイルを生成します(*1)。
TMPGEnc4の頃はシングルトラック故に4GBのファイルを1つ1つ個別に編集しなければいけなかった。なので当然動画全体に渡る効果(フィルター、テロップ、別の音楽/音声をかぶせる)という概念はありませんでした。
だからこそ 『じゃあマルチトラックのビデオ編集ソフトで作ってみようかっ!?』 と各社のを試して見たのですがどれもこれも基本的に 『編集した物をDVDやBDにミックスダウン&鑑賞する目的用』 なので出力解像度や利用可能な圧縮コーデックなどが決められていて動画を任意の解像度に設定して、かつ、エンコードに使うコーデックに好きな物を指定するということが出来ませんでした。
(*1)正直これは古いWindows時代で使われていたFAT32という管理方式のファイルの最大長なので、NTFS方式の時代に遷移している今は最大長が2TBなので区切りが邪魔です。と同時に区切るときに遅延が生じるので動画にポーズがかかり音声だけが進行してしまうと言う問題があります。なので数年使っていたFrapsなのですがそろそろ潮時かなぁって思ってます(/・_・?) 。最近ちょっと候補で考えてるのは以前ブログにも載せた Dxtory かなぁ。ファイルサイズ2TB対応ですし。
2012-0716追記:Frapsの新しいバージョンでは4GB区切りの壁は無くなって連続録画できるようになりました。それと録画開始等のトリガーになるキー割付も今まではシングルキーでしたけど、2つのキーの組み合わせもできるようになり、ゲーム内のキーと被ることもなくなりました。
以前の日記でも述べたのですがアタクシがずっと求めていた要件が、
(1)マルチトラックで字幕や他画像や他BGMなどを使え、
(2)エンコード用の Codec が各種選択できて、
(3)その Codec もさまざまな設定を施すことができ、
(4)出力サイズは解像度、ファイルサイズ共に自由に変更できる
つまりエンコーダーにマルチトラック編集機能を付けた物が欲しいとずっと思ってました。それゆえ各社のオーサリングツールを試用しつつも1つとして購入には至りませんでした。
ですが TMPGEnc5 がそれを実現してくれたのです。開発元のコンセプトが、
旧世代に置いては、エンコーダーの役割は、少ないハードディスクの容量を圧迫せずに、高画質で映像を圧縮する。あるいはDVDやBDなど特定のフォーマットに合わせるといった目的が多数を占めていました。
しかしながら現在に置いては、その要素は、目的の一部としてもちろん残存するものの、動画共有サイトの一般化や、モバイル機器を含む動画再生デバイスの普及など、その使用目的は非常に多様化してきております。
そこで我々は、エンコーダーという存在を見直し、現在に求められる新たな製品としてリリースすることを決断いたしました。
という素晴らしさ。もう飛びつきましたね〜w
それではさっそく実践的説明を・・・
編集の前にちょっとした環境設定を。
グラボにGeForceを使っている人専用のオプションになりますが CUDA エンジンを有効にしておきます。これは動画にフィルターを掛けた場合に CUDA 側で受け持つことが可能になるので CPU だけでエンコードしている場合よりより高速に処理ができのです。
RADEON ユーザーには何の意味もないのですが・・・
●それでは新規にタイムラインモードで編集を開始します
タイムラインモードが選択されている状態で新規プロジェクトをクリック。
プロジェクト単位でファイルが保存できるので後から呼び出して編集の続きをすることが可能です。TMPGEnc5をたまにハングアップすることがあるのでこまめな保存をしておくのが吉。
ノーマルモードが以前のバージョンのままの編集になります。
全体的な画面は左図のとおり。この例ではFrapsで録画した3つの動画クリップを連結して編集するところです。3つ目だけは短いのでちょっと見えにくいです。
左上がプレビューウインドウ、画面下半分が動画や字幕のレイヤー、右上がレイヤー上で選択した物のプロパティという構成です。
アタクシの場合、最初のクリップにフェードイン、最後のクリップにフェードアウトを設定してます。
●次にモザイクレイヤーを追加します。
後で説明するクリップ単体の編集画面でもモザイクを掛けることはできます。このマルチラインでのモザイクは複数の動画クリップを連結しているときに全体に渡ってモザイクを掛けたいときに非常に便利です。
特にMMORPGの動画の場合、チャットに欄にモザイクを掛けたいときがありますのでそんなときに重宝してます。
タイムラインの時間の目盛りの所に緑色の縦線マーカーがあります。それが時間軸なので連結したクリップの最後の位置をクリックすれば、このプロジェクトで作ろうとしている動画の終わりの時刻が判ります。この図では3m7s:77です。
モザイクレイヤーを選択している状態で適用終了時間にこの時刻を入力して【上記範囲を適用】ボタンをクリックします。 そうするとモザイクレイヤーの色がオレンジ色に反転して動画の初めから最後までが適用範囲になったことが視認できます。
こうすることでこれからチャット欄に設定するモザイク処理が動画の最初から最後まで掛かるようになります。
次にマーカーを先頭に位置付けてチャット欄が表示されるあたりにしておきます。そしてモザイクの形状を【四角】にして、プレビュー画面のチャット欄の所をダブルクリックして配置します。 そのままでは枠がちょっと小さいので大きさを拡大してチャット欄に合わせます。 これで隠しておきたいチャット欄が動画全体に渡ってモザイクが掛かるようになりました。
モザイクも【効果の種類】からぼかし等も選べるのでそれはお好みで選択。またそれぞれの効果の強さもスライダーで変更できます。
ちなみにアタクシのばあいPTチャット欄は別途右側に表示しているのですが、こちらはむしろ見せておきたいのでそのままですw
●次は字幕の追加です
字幕はテロップと違って画面の上下左右の決まった位置にしか表示できない機能です。TMPGEnc5ではデフォルトで4つのレイアウトがレイヤーとして追加されます。 それぞれのレイアウトは右クリックしてレイアウト編集を呼び出してカスタマイズすることが可能です。
字幕レイアウトの編集画面です。 表示位置はまさに字幕そのもので上下左右のそれが出せるという感じですが、文字サイズや文字色などは変更な可能なので、アタクシは動画の説明に使っております。
1度カスタマイズした設定ができたなら、それを字幕ファイルとして保存しておくことが出来ます。なのでいちいち設定を復元する必要は無く、毎回呼び出せばOKです。
左図では PSO2 動画用の字幕テンプレも保存してあることが判ります。PSO2のa2テストではSEGA(C)のロゴを入れる必要があるため別途専用のテンプレとして別名で保存してあるのです。
これはアタクシの動画の場合 Atreide のロゴを終始表示するための設定です。
レイヤー画面上で 『05.日付キャプション』 となっている字幕レイアウトを【終端まで】にチェックを入れて複数のクリップのまたがって表示されるようにします。
さらに 05.日付キャプション のレイアウトの編集でこの字幕にフェードイン&アウトを入れておきます。 アタクシの動画の場合、動画の最初と最後にフェードイン&アウトを入れるのでそれに合わせた形でこの字幕も表示されるようにしております。
各レイヤーの階層に着目。 動画クリップが一番下でその上がモザイクレイヤー、更にその上が字幕レイヤーという重なり順です。 モザイクと字幕を入れ替えてしまうと、字幕を表示しているところに上からモザイク枠が掛かってしまうのでNGです。
それゆえ先にモザイクの設定から書きました。 無論、レイヤーの重なり順は自由に変更可能なのであとからモザイクが必要になり、追加した後に順番を入れ替えることは可能ですよ!
●次に動画クリップの個別編集についてです
タイムライン上の動画クリップをダブルクリックすれば個別の編集画面が開きます。 これはシングルモードの画面と一緒です。 ダブルクリックするとデフォルトで 『カット編集』 画面になります。
この画面の目的は不要な部分のカットにあります。確かに長時間の録画だと不要なアイドルタイム的なものがあったりしますのでこの機能でそういった部分はカットして動画がダレないようにします。
クリップ別にフィルターを掛けることもできます。 アタクシの場合、ゲームを録画したものに関してはフィルターを掛ける必要が無いものですから使っておりません。
たまに音声ボリューム調整でノーマライズを使っているときもありました。音量が異なる別々のクリップを連結する場合には、各クリップ全てにノーマライズを掛けておけば一定の音量で見る事ができるので有用です。
その他の追加フィルター群です。 タイムラインモードができるようになって使わなくなりましたが、シングルモードしかなかった前バージョンでは、映像フェードインアウト、音声フェードインアウト、字幕、モザイクなどを使って個別クリップに適用していましたねー。
●次にテロップの編集についてです
テロップは字幕レイヤーと違って映像クリップと同等の扱いで1つのクリップになります。字幕レイヤーと違って画面上の好きな場所に配置することが可能です。
ただ、TMPGEnc5のテロップはそれほど凝った物はできません。ホームDVDやBDを制作するオーサリングソフトであればむしろテロップに凝ったプリセットがあったりするのですが、TMPGEnc5は目的が異なるので簡単なものという感じです。
タイムラインのマーカーを先頭に位置付けていたので最初の動画クリップの前にテロップが挿入されました。このパターンは動画が始まる前にテロップを入れる感じになります。まぁ映画の始まる前のタイトルとかの雰囲気。
別のレイヤーを追加して静止画を貼り付けてその上にテロップを載せるということも可能です。
テロップの長さが5秒です。そこで最初の動画クリップの開始時間を5秒から3秒に変更して、テロップにかぶるようにします。つまりテロップの最後の2秒と最初の動画クリップの始まりの2秒が重なる形です。
このクリップを重ねることによって時間軸の早いほうのクリップ、この場合テロップのほうになります、にトランジション効果が発生します。デフォルトのトランジションはクロスフェードです。トランジションというのはじわっと別の画像に移り変わる効果と言えばよいでしょうか。言葉ではどうにも説明しにくいのですけどもw
デフォルトのトランジションはクロスフェードでしたが、トランジション選択をクリックすると非常にたくさんのパターンが用意されてます。ほんとこれでもかっ!とう位にw
トランジション一覧でサムネイルの所をクリックするとAからBクリップへの効果が視認できます。実際に適用して編集画面のプレビューで見る事もできるので、雰囲気にあったものをいろいろと試行錯誤するのも楽しいですよ〜
先に述べたようにテロップは1つの独立したクリップなのでレイヤーを追加して別にすることもできます。左図ではテロップの終わりと最初の動画クリップの始まりが重なっている状態です。
●次は音声クリップの追加です
棒読みちゃんで作った音声をクリップとして貼り付けて動画の中に組み込みます。
レイヤーを追加>クリップを追加、で出来上がった音声ファイルを再生開始したい位置に貼り付けます。 そして動画のレイヤーの方は表示変更をクリックして音量のトラックを表示します。
貼り付けた音声クリップにマウスカーソルを載せると動画全体の中での開始位置が判ります。その前後に2秒位にキーポイントを配置して、音声クリップが流れている間の動画クリップの音量を下げるようにします。 こうしないとどちらのクリップも音量が100%のままで再生されてしまい、音声クリップの方があまり聞き取れなくなります。
左図のように音声クリップの前後に、音量の下げ始め → 音量の下げ終わり → 音量上げ始め → 音量の上げ終わり という4つのキーポイントを配置して調整しています。
この機能はタイムラインの時しか使えません。
●さて最後は編集の終わった画像のエンコード出力です
編集メイン画面の左上にある【出力設定】ボタンをクリックすると、様々な出力方式を選択可能な画面が表示されます。 あたくし以前は比較的高画質でファイルサイズも小さめだったDivXを使っておりました。ある意味TMPGEnc4を購入したのもそれがきちんと処理できるソフトだったからなのです。 でも、MP4が登場してからはDivXに変わってMP4ばかりになりました。同じファイルサイズなら圧倒的にMP4の方が画質が良いからです。
エンコーダーにも寄りますがMP4は様々な出力パラメーターがあってそれによって同じファイルサイズでも綺麗さが違うとかの差異はあるみたいです。
が、アタクシはもはや『職人的なパラメーター出しの時代は終わった』と考えています。単純にエンコードは画質を上げるとファイルサイズが大きくなります。なので職人技的に綺麗さを維持しつつファイルサイズを小さくすることに頑張っていた時代もありました。
しかしYouTubeは15分までの動画を最大2GBのサイズでアップロードすることができます。正直15分の長さで2GBも使う事って余りありません。BDも片面で25GBのサイズがあります。市販のHDDも3TBの時代に入ってます。
つまりは頑張って試行錯誤してファイルサイズを小さくするエネルギーは、大容量が許容されている時代に於いてそれは必要なものか?と疑問視しているのです。
ファイルを圧縮するソフトの比較に似てるかなぁ。WinRARと7-Zipで圧縮速度や圧縮率を比較してどっちがより小さい数値を出すか・・・正直そのような数値が数%の差に於いてはその数値よりソフト自体が持つ操作性や判りやすさのほうが価値があると考えます。 エンコードソフトも同じだと思うのです。
さてちょっと話がそれましたが、出力フォーマットは1度設定を出しておけば保存しておけるので参照ボタンをクリックして呼び出すことができます。特にブログに載せる動画は毎回同じ設定を使うのでこの機能は必須ですねー
左図はアタクシがいつも使っている設定です。 このなかで一番したの『パフォーマンス』がとても遅いになっているのはより綺麗な動画を作るための設定です。出力フォーマットの各項目の説明はヘルプファイルに全て載っているのでそれを参照して決めております。
MP4のエンコードをするときにVBR(平均ビットレート)を選択しているのですが、設定ボタンをクリックして処理パス数を2にしてます。それとファイルサイズの調整をよくやります。デフォルトの平均ビットレートは4000kbits/sなのですが、アタクシが唯一試行錯誤する部分があるのは、予想出力ファイルサイズを手入力して出来上がった動画を見ることですね−。
初期値の4000kbits/s、このサンプルのファイルサイズ94MBは確実に綺麗な結果を出せます。ただそこまで綺麗で無くてもいいかなぁって動画はむしろファイルサイズ指定でエンコードさせてます。
以下はエンコード中のCPUとCUDAの使用率です。GeForce持ちならCPUだけでなくGPUもお仕事してくれるのでより早くエンコードできる形になります。
エンコード後にPCをシャットダウンしたり、スタンバイにする設定が選べます。 やはりエンコードは時間の掛かる物なので寝る前に実行して放置しておけるのは便利ですね〜
●という感じでTMPGEnc5の動画作成のちょっとした実例を交えてのお話しを駆け足で書きました。
他にも複数のプロジェクトを纏めてエンコード処理させるバッチエンコードツールや、MP4出力フォーマットのオプションに iPod/iPad/iPhone 向けの出力設定があったりなどアタクシ自身使っていない機能もまだあります。そのあたりは追々時間と必要を感じたときにでも追求します。
とまれ、今回の説明でできあがった動画が以下の物ですっ!
(音量の右隣にあるボタンをクリックすると実サイズで見れます)
ビデオが再生されないときは、DivX Web Player for Windows/Macをインストールしてください。
2 個のコメント
わー♪
これはまた懐かしい動画をありがとうっ(*´ω`)
見ているとまたプレイしたくなっちゃうですねw
そして超詳しく動画編集の記事を挙げてくれて
とても参考になりましたっ♪ありがとですヾ(* ̄▽ ̄)ノ
私も使い始めたばかりで、良く分かっていませんが、
【aviutl】 でもフィルタやテキストを埋め込めるのですが、
そのUIというか操作方法が、【TMPGEnc5】 とても似ているんだな〜って感じましたw
まーどのツールも、大体おんなじような編集方法になるものなのかな?
そしてやっぱり出力フォーマットは、mp4ですよねー。いまは。
だけど、【aviutl】 だと色々追加しないとmp4に出力できないみたいで;;
でも、いま1万の出費はできないしにゃ〜。。悩ましいですわ。
> 『職人的なパラメーター出しの時代は終わった』
是非そうなって欲しいですっ(苦笑)。
Author
★★★ スピちゃん ★★★
コメントありり〜^^
どのツールもマルチトラックなものって同じような感じですね〜
AviUtil での MP4 出力も設定を1回出せれば使い回しできそう?
であれば後は楽なんだけどねっ!
職人的なパラメーター云々は実際試行錯誤してるのは楽しいんだけど
限られた時間の中ではそこに時間掛けるぐらいなら別の作業に・・・って感じですw
アタクシはTMPGEnc4からのアップグレードだったから5800円だったかなぁ
まぁアップグレードの割には高い気がしないまでもないですぅw